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『願いながら、祈りながら』について
北海道の過疎の村の分校には、中学1年生の男子3人、女子1人と3年生の女子1人の5人しか生徒がいません。そんな分校に赴任することになった林先生。すぐに辞めてしまうつもりだった林先生も、村の老医師久松先生の家に下宿し盃を交わしながら、生徒たちを見守る先生へと変わります。5人の生徒たちも1人1人がいろんな思いを抱えていて、お互いに影響し合いながら、1年間で少しずつ成長していきます。そして、この分校は本校に吸収されてなくなってしまいます。
- 第1章が林先生
- 第2章が中3、1人だけの女子生徒白石弥生
- 第3章は中1女子の手塚みなみ
- 第4章は中1男子の松本憲太
- 第5章は中1男子の江崎学
- 第6章は中1男子の柏木亮介
- 第7章が最後にまた林先生
の語りになっています。第4章あたりから、男の子同士がそれぞれの章で関係していて、だんだん後半へと盛り上がっていきます。
作者の思いがこれでもかというほど伝わってきて、いつの間にか感動させられてしまう素晴らしい作品です。中高生にはぜひ読んでもらいたいです。
ただ、小学生だと、第1章の林先生の語りの部分からなじめず、挫折してしまいそうです。第2章からは生徒が主人公になるので、小学生でも読みやすくなります。第2章から読み始めてもいいでしょう。
『願いながら、祈りながら』が中学受験で出題された学校
2015年度第1回聖光学院中学校、2015年度第1回カリタス女子中学校の国語の入試問題で出題されました。
2015年度第1回聖光学院中学校の国語の入試問題
大問3番で「第4章 闇を裂くもの」から文庫で約8ページ分が出題されました。下のカリタス女子中学校と全く同じ部分でした。確かに、この物語の中で、私も好きな場面です。男の子同士の友情を確認する場面でした。
大問1番は漢字、大問2番は共通する語句、大問4番は論説文でした。
大問3番での設問形式は、語句の意味が1題、5択の記号選択問題が6題、60字の記述問題が1題で出題されました。5択の記号選択は、迷いやすい選択肢が作られていて、しっかり読み取らないと引っかかってしまうでしょう。
聖光学院中学校の国語の出題傾向
聖光学院中学校の国語の入試問題は、大問1番は漢字、大問2番は語句または熟語の問題、大問3番が物語的文章、大問4番が説明的文章の構成になっています。
設問形式が、語句の意味が1題、5択の記号選択問題が10題くらい(抜き出しや適語補充があるときも)、40〜80字の記述問題が4題くらいとなっています。
試験時間は60分ですが、5択の記号選択問題の選択肢の文章も長く、全体で読む量がかなり多いです。試験時間も長いので、全部読み切って書く集中力・体力必要です。
2015年度第1回カリタス女子中学校の国語の入試問題
大問2番で「第4章 闇を裂くもの」から文庫で約8ページ分、上の聖光学院と全く同じ部分が出題されました。大問1番は説明文で大問2番まででした。
この大問2番の設問形式は、漢字が1問、抜き出しが1問、5択の記号選択問題が3問、8字と60字の記述、自由記述問題1問で全部で8問の出題でした。
※カリタス女子中学校の国語の入試問題の出題傾向について、以下の記事で書いています。参考にしてください。
