Contents
『星やどりの声』(朝井リョウ)について
早坂家は三男三女と母一人。偉大なる父はガンで亡くなってしまいました。三男三女、それぞれが父の思い出と父のいない悲しみを抱えています。
とっても切ないお話で、途中何度も涙を誘われましたが、家族の絆に心打たれます。
登場人物それぞれの人物像、海のある町の風景、『星やどり』という名の純喫茶…1つ1つが目に浮かぶようで、子どもたちの会話も聞こえてくるようで、1つの映画を見終わったような読後感です。
構成は、長男(大学4年)→三男(小6)→二女(高3)→二男(高1)→三女(高3)→長女(26歳)の順番で書かれています。二女と三女は双子の姉妹です。
やはり、受験では、小6の三男が出題されました。
中高生以上、そしてお父さんお母さんにもオススメしたい作品ですが、小学生が全部最初から最後まで読むには、少し難しいです。「三男 真歩」の章だけ読んでみるといいでしょう。
朝井リョウさんは、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を、『何者』で第148回直木三十五賞を受賞しています。この『星やどりの声』は朝井リョウさんが大学4年のときに出版されました。
『星やどりの声』が中学受験で出題された学校
2014年度第1回海城中学校、2017年度八雲学園中学校の国語の入試問題で出題されました。
2014年度第1回海城中学校の国語の入試問題
大問1番で「三男 真歩」から出題されました。後半部分から最初にリード文が3行あり、途中で中略あってまたリード文が3行入り、文庫で約9ページ分が出題されました。
大問2番は、お笑いのツッコミについての説明文です。1番の「星やどりの声」ほど長くはありませんが、指定語を使って書く字数制限つき記述問題が2問出題されています。
大問1番の設問形式は、4択の記号選択問題が9問、字数制限つき記述問題が1問の出題でした。
「三男 真歩」はちょっと大人びている小学6年生で写真を撮るのが好きですが、父親を失った悲しみを抱えています。真歩が、転校生のハヤシくんとカメラに詳しいプリントショップの大和さんと写真を撮りに行く場面が出題されました。
海城中学校の国語の出題傾向
海城中学校の国語の入試問題は、ここ数年物語的文章1題と説明的文章1題の構成で出題されていますが、物語的文章の方が長い文章となっています。記号選択問題がほとんどですが、70字〜100字程度の記述問題が必ず2題は出題されていて、バランスのいい問題となっています。
偏差値60後半の学校の中では、国語が難しいということはないでしょう。読むスピードがしっかりついていれば、4択の記号選択問題もしっかり消し込みながら、選択できる問題です。
出題されている物語文も、比較的男の子でも読みやすい本から出題されています。
海城中学校を受験したい生徒さんにおすすめの本
海城中学校を受験したい生徒さんにおすすめしたい本は、




です。
※このくらいの本がスラスラ読めるといいですね、という意味でのおすすめの本で、決してこれらの本が出題可能性があると言っているわけではありません。
2017年度八雲学園中学校の国語の入試問題
大問2番で、「三男 真歩」から出題されました。大問1番は漢字の読み書き、大問3番は説明文で、大問3番まででした。
この大問2番の設問形式は、語句の意味が2問、修飾・被修飾の関係が1問、品詞の識別が1問、4択の記号選択問題が2問、抜き出しが3問、自由記述問題が2問で、全部で11問でした。(問1が4問で問8まで)
※八雲学園中学校の国語の入試問題の出題傾向について、以下の記事で書いています。参考にしてください。
