Contents
『春は夜汽車の窓から』(三浦哲郎)について
この作品は、『21世紀版少年少女日本文学館20 汚点・春は夜汽車の窓から』という本の中の1作品です。
この本は、
- 井上ひさし 汚点
- 野坂昭如 小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話
- 野坂昭如 凧になったお母さん
- 三浦哲郎 春は夜汽車の窓から
- 三浦哲郎 初秋
- 三浦哲郎 メリー・ゴー・ラウンド
- 村上春樹 貧乏な叔母さんの話
- 村上春樹 踊る小人
4人の著者8作の短編集となっています。
この「21世紀版少年少女日本文学館」シリーズは、明治から現代までの名作が取り上げられ、漢字にすべてふりがながついていて、さらに、むずかしい言葉には、行間注で説明があり、頭注ではイラストや図で、詳しい説明も入っています。
ですので、昔の日本文学は読む気になれないという生徒さんでも、読みやすくなっていて、手を出しやすいシリーズです。
『汚点』井上ひさし
中学3年生の教科書に載っている「握手」もそうですが、この「汚点」も、井上ひさしさんご自身が孤児院で過ごされた経験から書かれた作品でしょう。兄弟愛が胸を打つ作品です。
弟はラーメン屋に預けられ、兄のぼくはダニエル修士が院長の孤児院に預けられていました。ぼくは孤児院で上級生から執拗ないじめを受けて辛い思いをしていますが、弟からの手紙で、学校に行かないでラーメン屋の手伝いをしなければならず、ラーメン屋の主人に暴力も振るわれているらしいことがわかり、兄は弟をなんとか救い出したいと考えます。そのぼくの思いをダニエル院長は理解し、弟を連れ出すための資金を貸してくれます。そして、ぼくは弟を連れ戻しに迎えに行くのです。
『春は夜汽車の窓から』三浦哲郎
次女は、岩手の祖母のところへ行くたびに、特急の汽車に乗るのが辛く憂鬱になります。次女は、窓の開かない特急の汽車では乗り物酔いがひどくなってしまうのです。あるとき次女は、窓が開く普通列車で、おばあちゃんのところまで行けないのかと父である私に問います。私は、窓の開く夜行列車で乗り継いで帰ってみてもいいのかなと考えます。
『春は夜汽車の窓から』が中学受験で出題された学校
2016年度山手学院中学校A日程の国語の入試問題で出題されました。
2016年度山手学院中学校A日程の国語の入試問題
大問2番で「春は夜汽車の窓から」全文が出題されました。
大問1番は論説文、大問3番は漢字の書き取りと読みで、大問3番まででした。
この大問2番の設問形式は、ことわざが1問、4択の記号選択問題が5問、10字の記述が1問、15字の記述が2問で、全部で9問でした。
山手学院中学校の国語の出題傾向
山手学院中学校の国語の入試問題は、ここ数年説明的文章が1題、物語的文章が1題、漢字の書き取りと読みの構成になっています。
設問形式は、4択の記号選択、適語補充、語句の意味、抜き出し、10〜30字くらいの記述問題が2,3問程度出題されています。記述問題は字数も多くなく数問で、記号選択がメインです。知識問題も文章題の中に1問出るか出ないかくらいで少なめです。