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『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎)について
この作品は、『短編少年』という人気作家たちの少年をテーマにした短編が9作入っている本の中の1つでしたが、2020年4月24日『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎著)として刊行されました。伊坂幸太郎さんの小説は、『アヒルと鴨のコインロッカー』や『グラスホッパー』など映画化された作品も多く、有名ですが、中学受験ではあまり見受けられません。(2017年度早稲田中学校で『ガソリン生活』が出題されています)
文庫で約65ページの小説です。「逆ソクラテス」、というタイトルも読んでみると、なるほど…とうなずけます。大人としては、むしろ久留米先生(決めつけるタイプ)になりがちなので、気をつけないといけないなと、風刺っぽいところもあると思いますが、安斎君という少年がなかなかおもしろいです。実は、65ページですごく大事なことを言っている作品です。すぐ読めます。
ぜひ小学生はもちろん、お父さんお母さんも一緒に読んでみてください。
『逆ソクラテス』が中学受験で出題された学校
2013年度第1回成蹊中学校、2014年度第1回法政大学中学校で出題されました。
2013年度第1回成蹊中学校の国語の入試問題
大問1番で最初に10行分のリード文があり、文庫で約7.5ページ分が出題されました。大問2番は論説文で、大問2番までです。「僕と安斎で、草壁をバカにする久留米先生の先入観を変えようと、プロ野球選手の小学校での野球教室のときに、その野球選手に草壁を褒めてもらえるように頼み、それが実行される」という場面が出題されました。
大問1番の設問形式は、自由記述の問題が4問、75字の記述が1題、4択の記号選択問題が2題で、問7まででした。
下記の法政大学中学校で翌年同じ箇所が出題されていますが、この問題に関しては、成蹊中学校の自由記述4問の方が難しいでしょう。
成蹊中学校の国語の出題傾向
成蹊中学校の国語の入試問題は、物語的文章が1題、説明的文章が1題の構成です。
4択の記号選択問題、適語補充、漢字の問題も出題されていますが、自由記述の問題が多く、100字の記述問題もあるので、書く時間が必要です。物語的文章の自由記述が難しいので、自由記述が出題される他の学校の過去問などを使って、自分の言葉でまとめられるように練習しておく必要があります。
2014年度第1回法政大学中学校の国語の入試問題
大問1番で文庫で約7.5ページ分出題され、大問2番は論説文で、大問2番までです。なんと、成蹊中学校の出題箇所と全く同じ部分がリード文なしで出題されました。若干形式は変わっていますが、成蹊中学校と同じ設問も出題されました。
設問形式は、適語補充問題が1題、抜き出しが3問、4択の記号選択問題が3問、字数制限つき記述問題が2題、漢字が1題、文法が1題、全部で11問の出題でした。
法政大学中学校の国語の出題傾向
法政大学中学校の国語の入試問題は、物語的文章が1題、説明的文章が1題の構成です。
設問形式は、4択の記号選択問題、適語補充、抜き出し、漢字の問題と、字数制限つき記述と自由記述問題が4問前後出題されています。