※渋渋=渋谷教育学園渋谷中学高等学校のこと。
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中学受験 国語の勉強法: 算数が偏差値60以上あるのに、国語が偏差値50前後だったA君が渋渋に合格
A君は、算数がとても得意で、算数になると目を輝かせて勉強していましたが、国語になると、急に眠くなったり、元気がなくなったりしていました。
算数のように、答えが明確に出ないこと、さらに、問題を解くまでに一度長い文章を読まなければならないことなどがとても億劫に感じるようで、なかなか国語の勉強が進まない状況でした。
A君はサピックスに通っていたので、小6の4月時点で、それまでのサピックスの成績を見ると、算数は常に偏差値60以上でうまくいくときは70も越えていましたが、国語の方は、うまくいって55、下手すると45,6という状態でした。
そこで、合格までどのように勉強していったかを順に説明していきたいと思います。
①『新演習小6』上巻練習問題を中心に進める。
『新演習小6』上巻練習問題中心の勉強法
多くの進学塾で扱っている『新演習』というテキストがあります。(市販はされていません)
四谷大塚の『予習シリーズ』より少し簡単で、問題が基本問題が2題、練習問題が2題ずつ程度あり、問題量が多く掲載されています。
サピックスの国語の問題は、かなり長い文章を読まないとなりませんが、『新演習』だとA4で見開き2ページ分で1題の問題が読んで問題も解ける量です。
基本問題はさすがに簡単に読むことができ解けていたため、練習問題を最初から宿題にして解いておいてもらうようにしました。
A君の場合、読むスピードは遅くありませんでした。というか、むしろ速いくらいで、遅いのはじれったくなってしまうようでした。ただ、速いからといって、ちゃんと読んでいるかというと、全然しっかり読めていないため、『新演習』練習問題をきちんとじっくり読んでいく練習をこなしました。
文章を読んでいくときに気をつけるべきことをきちんと説明して、筆者のいいたいところに線を引いたり、気持ちを確認したりという作業を丁寧に行いながら進めました。読解方法については、下記の記事で書いています。参考にしてみてください。
https://chugakuzyuken-kokugo.com/how-to-read/
『新演習小6』上巻を終わらせた結果
夏休み前半くらいまで、『新演習小6』の上巻で、説明文、物語文、随筆文の練習問題を終わらせました。この間、サピックスには普通に通っているので、A君はサピックスの宿題と両方こなしていました。多少、手を抜いたりしながらではあったかと思いますが、国語に向き合って時間を作ったと思います。
結果、やっと、「適当にサーっと読んで、適当に記号選択にマルをつける」という習慣がなくなりました。文章を読む時に気をつけなければならないことがわかり、本文にチェックを入れながら読んで、記号選択もすぐにマルをつけるのではなく、消去しながら、確率を上げてマルをつけるなど考えて解くという習慣をつけることができました。
②長文で練習するために過去問練習
過去問練習の方法
そこで、もう少し長文が読めるようにならないと、受験では役に立たないので、長文の練習を始めることにしました。
ただ、いきなり渋谷教育学園渋谷中の過去問はできないので、本文の文章がそれほど長くない西武学園文理中や都市大学付属等々力中の過去問から練習することにしました。
時間は計らず、しっかり読んで考えて解くように宿題にしました。
解いてもらった解答を見ると、だいぶできている時と、ほとんどできていない時とありました。説明的文章では大体一定の点数が取れるようになっていましたが、物語的文章の方の差が大きく、読めていない時は、最後のオチもわからないままだったりしていました。
物語的文章(随筆も含めて)の方は、本人が共感しやすいものと、共感しにくいものがはっきり分かれます。
本来なら、いろんな本をたくさん読んでもらうことが一番良い対策なのですが、この時点でもう9月頃。これから本を読んでもらう時間がありません。そこで、一度読んだ物語的文章を必ずもう一度お母さんに聞いてもらって音読して、その物語の世界観をもう一度味わってもらうようにしました。
過去問練習の結果
説明的文章に関しては、見事に大事なところに線を入れ、記号選択問題では本文で言っていない箇所に×を書いて消去し、記述問題も本文の大事なところから自分でまとめられるようになっていました。
物語的文章に関しては、やはりまだ当たり外れがどうしてもありましたが、それでも前ほどひどい点数になるということがなくなってきました。
長い文章にもだいぶ慣れ、模試の結果も偏差値50を下回るようなことはなくなり、良い時は国語も60近くになってきました。
③渋渋の過去問に挑戦していく
渋渋の過去問を練習する方法
渋渋の過去問は量もかなり多く、選択肢も4択ではなく5択で長く、時間的にかなり辛いところに、さらに出題される文章も難しく、1回目は半分も点になりませんでした。
同じように、文章量が多めで、選択肢は4択ですが、渋渋ほどは難しくない浅野中の過去問を先に練習しました。
記号選択の問題は、先に選択肢を読まないで、自分で頭で考えてから選択肢を読み、明らかに違う答えを消去、最後の2択までしぼって、本文と照らし合わせていい方を選ぶということを繰り返し練習しました。
記述問題は、むしろ楽なものが多く、本文で線を引いた大事なところをまとめたりすることで、書けていました。
やはり、物語的文章の方がどうしても確実にはなっていませんでしたが、音読も続けてもらって、渋渋の過去問に挑戦しました。
渋渋はなんとか読みきってしまえば、選択肢が長いので、長い分間違いを発見しやすくなっています。本文でこんなこと言ってないという箇所に×をつけていくと、自然と2択に絞られるようになります。そして、最後の2択でどちらがいいかは、難しいところで、本文の言っているニュアンスに限りなく近い方を選ぶようにということを繰り返しました。これは、訓練で、やっているとだんだん感覚が身についていきます。
そして、物語的文章で読めなかった時は、音読だけでなく、選択肢問題を全て、何が×だったかを確認しながら復習してもらいました。
国語の過去問は1度やったら、内容を知ってしまうので、もう手をつけない人が多いと思いますが、渋渋の場合、非常に濃厚な問題なので、国語は得意だからこの問題は大したことないと思える少数の人以外は、最低2度はやり直した方がいいです。2度目にやっと1度目に気づかなかったところまで見えてきたりします。
渋渋の過去問を練習した結果
1月いっぱい入試ギリギリまで解き続けて、なんとか算数との結果で合格最低点を越えるようになってきました。記号選択の×を見つけるスピードがかなり速くなりました。本文で言われていないことにすぐに×をつけると、全部読まなくても消去できるので、スピードが速まります。それでも、まだ安心という感じではなかったので、最後の最後まで、過去問解く、復習するを繰り返してもらいました。
そして、2月1日すぐに合格の連絡が入りました。
まとめ
まず、
- 長い文章を読むのがイヤなら、短い文章から練習する。短い文章で、適当に読んで答えるクセをなくして、読解方法をしっかり身につけてしまう。
- 長い文章で練習する。このとき、第1志望の学校の過去問が難しすぎるようであるなら、もう少し簡単な学校の過去問から始める。→できなかった文章は、必ず音読して復習する。
- 第1志望の学校の過去問を練習する。→復習する。→繰り返す。
このパターンがしっかりできたために、成功しました。
ここでは、選択肢の問題で、どうしてその選択肢が正解なのかについて、細かく説明することができませんでしたが、実際には本文に根拠を探して、「だから、この選択肢が正解になる」という説明をしています。そして、それを必ず自分で確認するために、もう一度家でお母さんと復習してもらいました。
国語は、一度解いてしまうと、もう読んだ文を何回もやっても意味がないから、知らない文章で練習したいと思ってしまうと思いますが、渋渋くらいのレベルの問題ですと、何度も読み直してみることが大切になってきます。
何度も読んだことで、その難しい文章が本当に生徒さんのものとなり、だから、また同じような難しい文章に出会っても、臆することなく読むことができたのです。