中学受験で、「算数はできるのに、国語が…」とか「国語もできるときはできるのだけど、できないときは全然書けてなくて…」など、国語の成績で悩んでいる小学生の保護者の方に、順をおって、どのように解決していけばいいか説明していきます。
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中学受験 国語ができない、安定しないとき、何をするべきか?
1.何ができないのか、点が取れていないところを突き止めましょう。
国語の問題は大きく分けて、知識問題(漢字・語句・文法など)と読解問題(説明文、物語文など)に分けられます。
知識問題ができない場合は、ひたすら練習するしかありません。毎日漢字の練習をする、慣用句を少しずつ覚える、など覚えるまで、覚えても受験まで確認でやってみるようにしましょう。
漢字が読めないせいで、読解問題も読めないということにつながってくるので、ここはまず確実に練習しておきましょう。
国語ができない、または安定しないという場合、多くは読解問題に問題があります。
読解問題の説明文的文章ができていないか、または、物語文的文章ができていないか、明らかにはっきりしているなら、対策は打ちやすいです。しかし、どちらもできるときとできないときの差が激しいということもあると思います。
2.一度レベルを落としてみましょう。
これが一番難しく、ですが、一番重要なことです。
多くの生徒さんは、塾の進度についていかないとならず、塾の宿題やテキスト以外の勉強ができない状況になっています。塾のテキストの範囲をやっていなければ、次のクラス分けテストでクラスが下がってしまうからです。
ですが、よく考えてみてください。目標は、志望校に合格することです。
塾でいいクラスにいることが目標ではないはずです。
志望校に合格できれば、塾でどのクラスにいたかなんてどうでもいいことになってしまいます。
思い切って、レベルを下げてみましょう。
このとき、塾の宿題や試験範囲の勉強もやって、さらに、レベルを下げた問題を取り組むとなると、時間的に国語だけにそんなにかけていられないということになってしまいます。
塾の先生に「国語はしばらく別でやらせるので、宿題はやっていけません」とはっきり言ってしまいましょう。これができなくて、悪循環をずっと続けている生徒さんを今までたくさん見てきました。
ここが踏ん張りどころです!
中学受験の国語の読解問題は、正直、高校受験とさほど変わらないか、むしろ、高校受験の方が簡単なのではないかと思ってしまうほど、長くて難しい問題が増えています。それに合わせて、サピックス・日能研・四谷大塚の公開模試などの問題もどんどん長くなり、難しくなっています。
物語文で考えても、小学生用の〇〇文庫から出題されるということは、本当に少なくなりました。ほとんどの問題が中学生以上が主人公の小説から出題されています。論説文や説明文も難しい哲学的文章が増えていて、本当に小学生の中学受験用の問題なのかと思うものが増えました。
つまり、国語が苦手な小学生にとって、その問題は英文と同じようなものなのです。急に英文を読めと言われて読めるわけがなく、知らない言葉だらけのテキストはいくらやってもできるようにはなりません。ただ、時が過ぎるだけで時間の無駄になっているだけでなく、ますます国語は面倒とか、国語はやりたくないというようにモチベーションが下がり、悪循環になってしまいます。
具体的なレベルを下げた勉強法
1.小学6年生で、極端に国語ができていない場合
小学校6年生で、だいたい目安ですが、公開模試などで150点満点中50点以下なら、小学校4年のテキストまで戻るといいでしょう。
※このとき、小4のテキストと言っても、市販で売っている小4標準問題集とかではなくて、塾で売られているテキストのレベルです。小4のテキストが書き込みがしてあってない場合は、通っている塾で購入できるか聞いてみるか、四谷大塚の予習シリーズならネット購入可能なので、予習シリーズを使ってもいいでしょう。
今まで使った小4のテキストがあって、書き込みがしていないなら、そこからやり直してみましょう。この場合は、説明的文章も物語的文章もどちらも自力で8〜9割正解できていたら、もう少し先、小4下巻とかまたは、小4のテキストの中の難しい方の問題だけを復習していき、また自力で8〜9割正解できようになったら、小5のテキストへと進むようにしましょう。この後は、後述の2.の方法で進めてください。
2.小学6年生で、国語ができたり、できなかったり安定していない場合
小学校6年生で、こちらもだいたい目安ですが、公開模試などで150点満点中75点くらいで、時々90点くらいまで取れたり、急に60点くらいまで落ちてしまったりしているなら、前述した説明的文章で落としているか、物語的文章で落としているかをよく確認してみてください。両方とも、ムラがある場合は、どちらの方法も試してみましょう。
・説明的文章ができていない場合
説明的文章の問題ができていない原因は、2つあります。
①単に、説明的文章の語彙が難解でわからない。
②説明的文章の読解方法を知らない、または分かっていない。
①の場合→小学5年生のテキスト(※同様)に戻り、説明的文章の問題だけ自力で8割9割できるようになるまでひたすらやり直してみましょう。語彙力は自然と身についてきます。
②の場合→説明的文章は読解方法がしっかりできていれば、物語的文章よりも明らかに点数を上げることができます。
説明的文章の読解方法は、多くのいろいろな先生が説明しているので、ここでは省きますが、例えば、接続詞をチェックしていく、とか、段落ごとに大事な文に線を引いていくなどです。
こういった方法論をしっかりおさえれば、すぐに説明的文章では点を取っていくことができるので、この読解方法をおさえながら、小5のテキストをやり直し、自力で8〜9割できるようにしっかりマスターしましょう。
・物語的文章ができていない場合
物語的文章にもある程度は読解方法がありますが、それだけではなかなか点にならず、読めてすごくできるときと、全くわからず全然できないときができてしまうのは、物語的文章の方が圧倒的に多いでしょう。
説明的文章は、算数のように論理的に読めると答えが見えてくるようになりますが、物語的文章はそう簡単にはいきません。「このときの〜の気持ちを説明しなさい。」という問題に、きちんと答えるためには、状況や背景が把握できていて、人物像がしっかり捉えられていなければなりません。
国語ができないと言っている生徒さんは、最初は物語の方が好きと言います。それは、説明文の難解な語彙がわからず読むのも億劫に感じるからです。ですが、だんだん語彙力がついて、読解の方法がわかってくると、物語文の方が億劫になってきます。複雑な心情などを理解するには、やはり心が大人になっていないと難しかったりするからです。
①説明的文章と同じように、小5のテキスト(※同様)に戻って、物語的文章の問題だけ自力で8〜9割正解できるまでやり直しましょう。
このとき、設問とは別に、どんな状況だったか、登場人物はどういう人物だったか、登場人物の気持ちはどのように変化したか、ということを確認しながらできるといいでしょう。
正直、センスとか精神年齢とかも関係してきてしまいます。ちょっと大人だなと思う生徒さんは難なく何も教えてなくても、スラスラ答えを書いていくことができます。そういうセンスを身につけるためには、読書量を増やすしかありません。
②読書によって擬似体験を増やしましょう。
例えば、離婚した家庭の子どもの気持ちって、お父さんお母さんがいつもそばにいてくれる子どもにとっては想像しづらいことです。ですが、本を読むことによって、その登場人物になったような気になれるので、擬似体験することができるわけです。
受験生は、社会も理科もやることがたくさんでなかなか読書の時間が取れないのが現状ではないでしょうか。
そんなときは、読み聞かせでもいいでしょう。「小6になって、読み聞かせ?」と思われるかもしれませんが、少し読んであげて状況や人物像をわかっているか確認して、次を楽しみにするようなところで終わりにして、また、次の機会に続きを読んで…というふうにできれば、擬似体験はできるはずです。
3.小学5年生の場合
小学5年生でも、すでに塾の進度についていかないといけないという呪縛があると思いますが、戻るのはまだ楽なはずです。
小4のテキストでも自力で8〜9割が厳しいようでしたら、小3のテキストがあるなら小3のテキストか、小4でも市販の標準問題集やドリルを、音読しながら大量にやって語彙量を増やしてみましょう。
それから、小4のテキストを前述のように進めてみてください。
1人で全部音読してもらうと疲れてしまって、もう読むのヤダ〜となってしまうので、段落ごとに子ども、お母さん(お父さん)、子ども….と交互に読むようにすると人が読んでいるのも聞いて理解しないといけない経験もでき、声を出して読むことに疲れすぎずにすみます。
まとめ
国語は、普段使っている言語なので、読めることは読めるため、「塾の進度に合わせられないなんてありえない」と思われがちです。
ですが、読めてもわからない問題をひたすら予習しなければならないのは苦痛でしかありません。
ちょっと難しいけど、読んだらわかったという感覚が大切です。読んでわかると楽しくなってきます。
この感覚を味わえるような問題で練習を続けましょう。そうすれば、少しずつレベルアップしていきます。あとは、読書量です。読書も読む本のレベルを考えて、楽しい読書でレベルアップするようにしましょう。
下記の記事で具体的にどのようにレベルを下げて、だんだん上げていったかの指導例を書いています。参考にしてみてください。


