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『小学五年生』(重松清)について
この本は、
- 葉桜
- おとうと
- 友だちの友だち
- カンダさん
- 雨やどり
- もこちん
- 南小、フォーエバー
- プラネタリウム
- ケンタのたそがれ
- バスに乗って
- ライギョ
- すねぼんさん
- 川湯にて
- おこた
- 正
- どきどき
- タオル
の17編からなる短編小説集です。
短編なので国語の入試問題に出題されやすかったのでしょうか。今までに何度もいろいろなところで出題されています。
「葉桜」は、転校した女の子のことをずっと気になっている同じように転校した男の子の話、「おとうと」は、目が悪くて手術することになった弟と、手術前に海の見えるところへ連れて行く話、など1つ1つが小学5年生ってこんな感じだったかなあと、ほのぼのしたり、しみじみしたり… どちらかというとしみじみが多い短編小説集です。
小学生が読むのでしたら、重松清さんの作品では、他にもっともっと楽しいものがありますが、入試問題は楽しいものよりしみじみする方が多いので、全部読まなくてもこの中から選んで、少ししみじみを体験するのも練習になるのではないでしょうか。1話だけなら20分もあれば読めると思います。
オススメは、受験でも出題され、塾のテキストにも掲載されている次の3つです。
南小、フォーエバー
夏休み初日、少年トシは、5年生に進級する前に転校した、4年生の頃一番仲良しだった三上君の家に遊びに行く。ところが、三上君はソフトボールの練習があって休めないからと、12時過ぎにやっと戻ってくる。さらに、午後も試合があると言う。トシと遊ぶ予定をすっかり忘れて約束してしまったらしい。仕方なく、トシも試合に付き合うことになるが、トシの出る場はなく、やっぱり帰ることにする。トシは、バス停で泣きそうになりながら待っていると、三上君が走って来た。バスが来るまで少しだけキャッチボールしようと。三上君が投げてきたボールには「南小4年1組フォーエバー!」と書いてあった。転校したての頃に書いたものに違いない。バスが来て、ラスト一球を投げる。
友だちの友だち
少年は初めての転校でちょっと調子に乗って、前の学校や町のことを大げさに話し、おもしろがらせようと今度の学校をネタとしてしゃべったら、いばってるとか、ここをバカにしてると言われてしまった。リーダー格のヨッちゃんとも仲良くなれるはずだったのに話もできなくなった。仕方なく、町をあてもなく自転車で探検し、落ちて来たこいのぼりを拾って、団地の3階の部屋に届けに行くと、おばさんに中にあがるように誘われた。交通事故で亡くなった息子さんがいたそうだ。そこに、亡くなった息子さんの親友だったヨッちゃんがやってくる。2人はなんとなく一緒に遊んで、帰りにヨッちゃんは、鯉のぼりを亡くなった息子さんに見せてやろうと、片手運転ができる少年に鯉のぼりを渡し、一緒に河原を自転車で走る。
バスに乗って
少年は5年生の2学期になって初めて、少年の母が入院したため、1人でバスに乗ってお見舞いに行った。父からバスの回数券を買うようにお金をもらう。毎日病院へ通わなくてもいいと、母は少年を心配したが、買い足した3冊の回数券ももうすぐ終わりになってしまう。最後の回数券を使わないといけなくなったとき、少年は泣きながら回数券を使いたくないと、河野という運転手に話す。新しい回数券を買うと、母の退院の日がまた遠ざかってしまうからと。河野さんは何も言わずに小銭を運賃箱に入れ、乗せてくれた。その後は、少年はお小遣いでバスに乗った。お小遣いがなくなる前に、母は退院できることになる。退院の日、少年は一人でバスで帰ると言う。河野さんのバスが来るまで待って、最後の回数券に「ありがとうございました」と書いて運賃箱に入れ、降りる。
最近出題された重松清さんの作品は、『一人っ子同盟』です。

※『タオル』は中学2年生の教育出版の教科書に掲載されています。
amazon audibleで『小学五年生』を聴くことができます。最初の1冊は無料です。
『小学五年生』が中学受験で出題された学校
重松清さんの作品は、中学入試頻出です。(高校入試でも出題されています。)
学校の教科書にも重松清さんのお話は載っているので、知らない人は少ないかと思います。
特にこの『小学五年生』は入試ではもう出尽くした感があるかもしれません。塾のテキストにも掲載されています。
2014年度第1回明治学院中学校の国語の入試問題で出題されました。
過去に国語の入試問題で出題された学校は、私が知っているかぎりで、書いておきます。
- 2008年恵泉女学園中 「南小、フォーエバー」
- 2008年横浜共立学園中 「バスに乗って」
- 2010年頌栄女子学院中 「友だちの友だち」
2014年度第1回明治学院中学校の国語の入試問題
大問1番で「友だちの友だち」全文が出題されました。文庫のページ数で、11ページ分全部です。
大問1番の設問形式は、抜き出しが1問以外は全て4択の記号選択の問題で、問10まででした。
大問2番は俳句、大問3番はことわざ、大問4番は対義語、大問5番は修飾・被修飾の関係、大問6番は漢字の書き取りでした。
明治学院中学校の国語の出題傾向
明治学院中学校の国語の入試問題は、2018年度は、物語的文章が1題、詩が1題、手紙文が1題、主語を問う問題が1題、敬語の問題が1題、四字熟語が1題、漢字の書き取りが1題、漢字の読みが1題の構成でした。
大まかに見て、物語的文章が1題、詩・俳句・和歌のいずれかが1題、手紙文、記録文、感想文などが1題、文法や知識問題があって、漢字の読み書きという構成です。
設問形式は4択の記号選択か抜き出し、適語補充問題が多く、ここ数年では記述問題はありませんでした。
知識問題が多いので、敬語やことわざ・慣用句もしっかり覚えておいた方がいいでしょう。